怖かった不思議な話 体験談っす
オイラは心霊というものに関しては否定的なほうだ。
というか、TVなどのメディアで語られる話があまりにもウソっぽく、結局、視聴率稼ぎ的&話題づくり的な匂いを感じさせる事への反動で否定的になってしまったといえる。
本当は、否定に否定を重ねた上でも『信じざるを得ない』ような不思議さに出逢いたい。という、ロマン?というか、憧憬?というか、不思議さを堪能したいから否定から入っているといったほうが近いかもしれない。
これから書くのは、実話である。
まあ、実話なだけに登場人物に関しては仮名にする事にする。
大学時代、オイラは男子寮に入っていた。
京都のはずれ、山すそに溶け込むかのように、なだらかな斜面に住宅が並ぶ場所。
そのあたりは妙に神社や祠が多く、遠くから見ると深緑のこんもりとした木々の間に住宅がぽつぽつと顔を覗かせるような風情。
昭和の半ばに建てられた寮。
外壁にはひび割れが走り、おせじにも綺麗といえる姿ではなかった。
4階建ての細長い建物ながら斜面にあるため、水平に保つ基部をいれると部分的には5~6階建てほどになっていた。
古い寮だけの事はあり、寮を囲む塀の内側に植えられた木々も大きく育ち、より見た目を陰鬱、ひなびた感じにさせていた。
室内は、擦り切れた畳&破れた襖・全室完備の二人部屋。
日直は当番制。
部屋単位の二人組み。
日直は夕方から夜10時の閉門時間まで、寮の玄関横の日直室で門番をする取り決めだった。
ある晩。
その日は6月の梅雨がシトシト降り、日直室のガラスを曇らせていた。
日直のオイラは、同室の浅野を含め何人かで駄弁りながらそこにいた。
夜10時。
浅野が、玄関を施錠しに部屋を出て行った。
数分後。
浅野は真っ青な顔で戻ってきた。
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『げ・玄関に血まみれの人がいてる』
駆け出してみると。
玄関横の植え込みに、確かに、血まみれの人が俯いて座っている。
よくみると、それは寮生の中でも最もおとなしい山田であった。
すぐには山田とわからないほど、白いシャツを血と泥と雨水でぐしょぐしょにして俯いていた。
救急車が到着し山田を運び出した。
そして
オイラたち寮生は緊急招集で寮の食堂に集められた。
点呼。
全員の居場所を確認したあと、寮長の指示でオイラたち寮生は二人一組で寮周辺の見回りをした。なぜならば、数日前寮生と近所のヤンキーのいざこざがあり、体育会系の多いわが寮は圧勝。ヤンキーたちに土下座をさせて引き取らせた経緯があったためだ。
おとなしい山田に報復をしたヤンキー達を雨の晩、皆で捜し求めて歩いた。
おとなしい山田を、血まみれになるほど痛めつけた奴らを呪った。
オイラは、腕っぷしが自慢の浅野と二人組みだから安心してヤンキー探しをしたことを憶えている。
30分後。
成果なく寮へ帰った。
・・・
帰ると、寮の雰囲気が違う。
とても暗くよどんだ雰囲気が漂っていた。
食堂には、真っ青な顔で無言の寮長、それを囲むように立ち尽くしている寮生たち。
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焦点のさだまらない視線を窓の外に向けながら寮長がつぶやく。
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『屋上に山田のスリッパが揃えられていたんや』
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つづきます。
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